ドイツの捕虜収容所に入れられた連合軍将校の捕虜たちが、トンネルを何本も掘って脱走を計画するという一風変わった戦争映画「大脱走」。「荒野の七人」であてたジョン・スタージェス監督の、1963年の作品。今見ると、そうそうたるスターが競演している。捕虜になって何が出来るか。実話に基づく、「脱走という戦い」のドラマだ。
なんといってもマックィーンのかっこ良さや自由さに、憧れてしまう映画なのである。なにしろ、この映画で、マックィーンが好きになってしまったのだ。なのであるが、何回か見るうちに、ワタシのココロに深く残っていくのは、ジェームズ・コバーンの飄々とした脱出シーンであった。
「飄々」という人生のスタイルがとても大切だと、この映画のコバーンは教えてくれた。ラスト近く、コバーンは自転車にトランクをくくりつけ、ゆっくりと田舎道から脱出してゆく。なにごとも焦らず、隠れることなく、真っ直ぐ、ゆっくり進んでいけばいい。ジョン・スタージェスの映画にはなぜか、こうした「飄々とした」男たちが多く登場するのだが、この映画のコバーンはひときわ軽い風のような感じだ。
「飄々と生きる」とはどういうことか。さらに、その思いに答えてくれたのが、ジョージ秋山の「浮浪雲(はぐれぐも)」だ。浮浪の旦那はお金持ちではあるけれど、飄々と生きていけるのはそのおかげだけじゃないだろう。
飄々とした生き方は、まともな人間としての感覚が体の芯に通っていないとダメなんだ、と、いうことなのだろう。映画もマンガも、人生まだまだ勉強だワ、と教えてくれる。