ハイキングに行くと、大きな送電塔によく出くわす。街から山にお出かけする人間と、山奥のダムから街へと送られてくる電気の通り道がクロスするのは当然のことだけど。ハイキング道の近くに多いようだ。昔からの歩きやすい道の近くに建てられてきたのだろうか。
この送電塔を真下から見上げると、とても美しい。構造物としての美しさと、電気を通されたサイボーグのような、どこか生き物をみているような美しさを感じる。
静かな鉄の塔ではなく、今にも動き出しそうな迫力がある。
たとえば夜などは、バチバチとショートした火花が見えるのかもしれない。蛍光灯を持って行けば、薄青く発光するのかもしれない。昔テレビで、送電塔の近くに住むと電磁波が体に悪いと、蛍光灯を持って実験しているのを見たことがある。
箕面の山々でも、洛西の山々でも、比良の山々でも、背骨に針を打つように送電塔がつながっている。何十万ボルトの電流が流れているんだろう。古都の電柱電線と同じで、景観はよくないが、送電塔ばかりは地中に埋めるわけにも行かない。
やがて宇宙から無線で電気が送られてくる時代も来るそうだが、そうなると、送電塔もなくなってしまうのだろうか。
山起こす 鉄塔怪獣 あらわれり