お気楽さんぽ

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2009年7月26日日曜日

ハヤカワ ポケット・ミステリ


アメリカのペーパーバックのように、本の天や小口が黄色く着色された細長のサイズ。文庫本より少し大きく、文章は二段組みレイアウト。表紙は抽象的な油絵の装丁。そして、ビニールのカバー、昔からちっとも変わらない。持っているだけで、カッコイイと思ったものだ。
このポケットミステリとのつきあいは長く、中学からだ。そもそも早川書房の本に出会ったのは「SFマガジン」という雑誌を立ち読みしだしてからで、その後、星新一や小松左京などのSFショートショートを読み始めた。SFは体質に合わなかったのか、イアン・フレミングの007が流行しだしたこともあって「ミステリマガジン」を読むようになった。多分初めて買ったポケット・ミステリも007だったのだろう。なんでも、1953年刊行開始というから、わたしの歳とあまり変わらない。こちらは今、世界最大・最長のミステリシリーズに育っているらしい。

映画を見たら本を買う、本を読んだら映画を見るという感じでイアン・フレミングの007はほとんど読んでいると思う。TVの「ナポレオン・ソロ」のポケットミステリも読んだと思う。その後、はまったのは、「87分署」シリーズであり「マイク・ハマー」であり、「ヴァージル・ティップス」であり、チャンドラーでありと、ハードボイルドに一直線にのめり込んでいった。
クリスティやウールリッチといった、本格ミステリーの何冊かは読んだが、こちらはあまり合わなかった。いわゆる謎解きとかトリックを見破るとかの思考回路が全く稼働しなくて、なるほどなるほどと、感心するだけで終わってしまう。やっぱり映画的に映像が見えてくる、あるいはスタイルにこだわるミステリの本の方が好きみたいだ。

このハヤカワのポケットミステリ、紀伊国屋やなどの大きな本屋でもちょっとの在庫しかないという時期もあったが、最近は人気も持ち直してきたようだ。たまにアメリカ探偵作家クラブ賞のものとかを読むと、やっぱり面白い。人間の息遣いが聞こえてくるような、リアルなミステリが増えている。多彩なミステリの世界を、このシリーズは今も広げつつある。

7 件のコメント:

  1. 「ミステリマガジン」は、EQMM(エラリー・クィーン・ミステリマガジン)の時代からお世話になってましたが、
    ポケット・ミステリを初めて手にしたのは高校生になってから。
    「長いお別れ」だったか「高い窓」だったか……。
    ちょっと丸めて手に持った感じや、ページをパラパラしたときの匂いというか空気みたいなものが、
    ハードボイルドによくあっているようで、お気に入りでした。
    それにしても高校生のお小遣いでは、なかなか手を出しにくい値段だったなぁー。

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  2. ぴのこさん、おひさしぶり。そうですか、チャンドラーあたりから行きますか。ハードボイルド好きは筋金入りですね。ワタシは胸をはって、007あたりからです。たしかにポケット・ミステリは、あの空気そのものがいいと思います。

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  3. ian flemmingのfrom russia with love が最初の早川ミステリーでした。この本に出てくる007james bondに抱いたボクのイメージと映画のsean connery演ずるjames bondがぴったりと符合したことを鮮明に覚えています。因みに、英国のmilitary intelligenceことMI-6では、00は女王陛下に対する忠誠を意味し、女王陛下の二つの眼を表しています。極秘指令を受けた00の称号を持つたsecret agentはこの「殺しの番号」(特権)を与えられたわれたのでしょうね。O'Sam

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  4. 007の00が女王陛下の二つの眼を表しているとは知りませんでした。イアン・フレミングそんなこと書いてました? 今のジェームスボンド役の俳優も冷酷そうで好きです。ちょっとロシア人みたいですが。彼になって2作続けて映画見に行きました。

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  5. エド・マクベインが創作した87 Precinct(87分署)も面白く、medium boiled な警察小説で好きでした。30分のテレビ版「87分署」もよかったですね。スティーブ・キャレラ刑事より脇役でユーモラスなマイヤー・マイヤー刑事がボクにはお気に入りでした。O'Sam

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  6. 87分署ファンは多く、ワタシも10冊以上読んでいると思います。マイヤー・マイヤー、懐かしいですね。エド・マクベインは他にも3つか4つペンネームを使い分けて本を出していたはずです。

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  7. ちなみに、NYPD には86分署まであって、87分署はマクベインが勝手に創作りました。

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