お気楽さんぽ

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2010年8月1日日曜日

横尾ワールドの毒にピリピリ

中之島の国立国際美術館で、横尾忠則の全ポスター展を見てきた。すべてのポスターが展示されるのは、国内では初めてらしい。「天井桟敷」時代や、健さんの時代、インドの時代や、神の生まれ変わりの時代などなど、ほぼ同時代に生きてきた人のポスター展だから面白い。

一枚のポスターから濃厚に漂う、その時代の空気に、こちらの感性が反応してしまう。ポスターが窓となり、その奥から、当時の風や歌や雑音が響いてくる。


七割ほどは、知っている作品だが、これだけ集められて見せられると凄い。こんな量を残せるのは横尾しかいない。寝ない日が何ヶ月も続いていたに違いない。ポスターは、質より、量に価値がある。横尾忠則はやっぱり、時々狂っていたのだと思う。


きっと、今の学生達や、外国の人たちは、優れたアート作品としての鑑賞の時間を過ごすのだろう。けれど私たちは違う。同じ時代を過ごしてきた私たちには、二重にも三重にもオーバーラップする楽しみがそこにある。

マンガ雑誌のおまけのような時間。このポスター展は、横尾忠則からの素敵なプレゼントだ。


ところで、ポスターなどもデジタル・サイネージの時代。動画中心の映像ポスターでは、こうした1枚のグラフィックとの間に結ばれた個人的な関係は育つはずもない。ポスターが楽しめないなんて、カワイソウ。私たちは、いちばん楽しい時代を過ごしてきたのだ。と、言ってしまおう。


同時併載している「束芋」展も面白い。朝日新聞の連載小説「悪人」の挿絵でおなじみになった、束芋ワールド。彼女の世界が70年代の空気に似ていると感じるのは、横尾ワールドに毒されたからか。


阪神タイガースは8:7で中日に勝ち越し、いざ長期ロードへ。次は巨人戦だ。

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