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お気楽さんぽ

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2012年5月13日日曜日

BAR探偵の夜

その探偵は、百万遍にいた。大きな通りからちょっと中にはいった、商店街のハズレのような場所だった。夜だったから。正確に言えば1軒目の店で呑んだ後だから、はっきりと見えてはいないが、焦げ茶のスーツを着ている印象だった。木香薔薇が今を盛りにびっしりと咲き、探偵の左半身を隠していた。木のドアの硝子の向こうでは、なにやら多くの人がひしめいている。「今日は貸切です」の文字。特別な夜が始まっているようだ。

その探偵は、BARの名だ。探偵「濱マイク」シリーズで注目を集めた、林海象がやっている店だ。なんでも古い喫茶店が壊される寸前に買い取って、BARにリユースしているらしい。「古いから、内装がいいでしょ。シンメトリーでないところがいいんです」と本人が言っていた。
どうやらこの夜は、開店5周年のパーティの夜だったらしい。連れの一人、謎のウクレレ弾きが強引にスタンディングでOKだからと、ぐんぐん店の中に入っていく。

その夜の探偵は、映画好きのおもちゃ箱みたいだった。造形大学の映画学科の学生たち、映画の照明さん、新聞記者、女優らしい女はカウンターに座ってハイヒールを投げながら浅川マキを歌っていた。
そのカウンターの奥には林監督の秘密の部屋。本箱をギィと押せば、潜水艦のような部屋に入れる。どうやらここが個人事務所で、今夜だけ特別開放らしい。「この赤く鉄さびの浮いた壁、潜水艦らしくていいでしょ。みんなベニアです。映画はベニアです。映画の美術さんはスゴイんです」とうれしそうに説明してくれた。そういえば「探偵事務所は奥へ」の張り紙もあった気がする。

その探偵を、あとにしたのは、日付が変わるちょっと前。湖西に住むもう一人の酔っぱらいは、あわててタクシーに飛び乗って駅へと向かった。

7 件のコメント:

  1. その探偵局の場所は、田中里の前ですよ。

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  2. どうもです、中村さん。ウラの名前はどないしやした?
    探偵の正確な場所は、行きたい人から一杯おごってもらうまで内緒にしておきましょう。

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    1. そやなあ、それがえいがやなあ。

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  3. ごぶさたしております。なんともに気になるお店(というか探偵事務所)ですね。お話そのものが映画みたいです。内緒ってあたりがさらに興味津々です。いってみたいなぁ。

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  4. まいど!
    相変わらず夜型です。
    この小説みたいなの、続きあるのですか?
    何となくサスペンスのような・・・・、違う?
    あるのでしたら、速やかにね。

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  5. クロカワンワンさん、お久しぶりです。
    お元気ですか。こうして時折、声をかけてくれると
    とてもうれしいです。
    この探偵さん、クロカワンワンさんの実家から多分お散歩範囲のお店です(ちょっ遠いか?)。
    こちらに帰ってくるときがあれば呑みに行きましょう。(呑めなかった?)

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  6. 漁さん、毎度です。
    すみませんが、続きありません。
    っていうか、みんな事実の出来事です。
    登場人物も謎のウクレレ弾きと湖西の酔っぱらいは、
    漁さんもよく知っている人たちです。
    そのお店にまた行ったら、続きがあるかもわかりません。

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