その探偵は、百万遍にいた。大きな通りからちょっと中にはいった、商店街のハズレのような場所だった。夜だったから。正確に言えば1軒目の店で呑んだ後だから、はっきりと見えてはいないが、焦げ茶のスーツを着ている印象だった。木香薔薇が今を盛りにびっしりと咲き、探偵の左半身を隠していた。木のドアの硝子の向こうでは、なにやら多くの人がひしめいている。「今日は貸切です」の文字。特別な夜が始まっているようだ。
その探偵は、BARの名だ。探偵「濱マイク」シリーズで注目を集めた、林海象がやっている店だ。なんでも古い喫茶店が壊される寸前に買い取って、BARにリユースしているらしい。「古いから、内装がいいでしょ。シンメトリーでないところがいいんです」と本人が言っていた。
どうやらこの夜は、開店5周年のパーティの夜だったらしい。連れの一人、謎のウクレレ弾きが強引にスタンディングでOKだからと、ぐんぐん店の中に入っていく。
その夜の探偵は、映画好きのおもちゃ箱みたいだった。造形大学の映画学科の学生たち、映画の照明さん、新聞記者、女優らしい女はカウンターに座ってハイヒールを投げながら浅川マキを歌っていた。
そのカウンターの奥には林監督の秘密の部屋。本箱をギィと押せば、潜水艦のような部屋に入れる。どうやらここが個人事務所で、今夜だけ特別開放らしい。「この赤く鉄さびの浮いた壁、潜水艦らしくていいでしょ。みんなベニアです。映画はベニアです。映画の美術さんはスゴイんです」とうれしそうに説明してくれた。そういえば「探偵事務所は奥へ」の張り紙もあった気がする。
その探偵を、あとにしたのは、日付が変わるちょっと前。湖西に住むもう一人の酔っぱらいは、あわててタクシーに飛び乗って駅へと向かった。
その探偵は、BARの名だ。探偵「濱マイク」シリーズで注目を集めた、林海象がやっている店だ。なんでも古い喫茶店が壊される寸前に買い取って、BARにリユースしているらしい。「古いから、内装がいいでしょ。シンメトリーでないところがいいんです」と本人が言っていた。
どうやらこの夜は、開店5周年のパーティの夜だったらしい。連れの一人、謎のウクレレ弾きが強引にスタンディングでOKだからと、ぐんぐん店の中に入っていく。
その夜の探偵は、映画好きのおもちゃ箱みたいだった。造形大学の映画学科の学生たち、映画の照明さん、新聞記者、女優らしい女はカウンターに座ってハイヒールを投げながら浅川マキを歌っていた。
そのカウンターの奥には林監督の秘密の部屋。本箱をギィと押せば、潜水艦のような部屋に入れる。どうやらここが個人事務所で、今夜だけ特別開放らしい。「この赤く鉄さびの浮いた壁、潜水艦らしくていいでしょ。みんなベニアです。映画はベニアです。映画の美術さんはスゴイんです」とうれしそうに説明してくれた。そういえば「探偵事務所は奥へ」の張り紙もあった気がする。
その探偵を、あとにしたのは、日付が変わるちょっと前。湖西に住むもう一人の酔っぱらいは、あわててタクシーに飛び乗って駅へと向かった。
その探偵局の場所は、田中里の前ですよ。
返信削除どうもです、中村さん。ウラの名前はどないしやした?
返信削除探偵の正確な場所は、行きたい人から一杯おごってもらうまで内緒にしておきましょう。
そやなあ、それがえいがやなあ。
削除ごぶさたしております。なんともに気になるお店(というか探偵事務所)ですね。お話そのものが映画みたいです。内緒ってあたりがさらに興味津々です。いってみたいなぁ。
返信削除まいど!
返信削除相変わらず夜型です。
この小説みたいなの、続きあるのですか?
何となくサスペンスのような・・・・、違う?
あるのでしたら、速やかにね。
クロカワンワンさん、お久しぶりです。
返信削除お元気ですか。こうして時折、声をかけてくれると
とてもうれしいです。
この探偵さん、クロカワンワンさんの実家から多分お散歩範囲のお店です(ちょっ遠いか?)。
こちらに帰ってくるときがあれば呑みに行きましょう。(呑めなかった?)
漁さん、毎度です。
返信削除すみませんが、続きありません。
っていうか、みんな事実の出来事です。
登場人物も謎のウクレレ弾きと湖西の酔っぱらいは、
漁さんもよく知っている人たちです。
そのお店にまた行ったら、続きがあるかもわかりません。